山下次郎のソロ曲『GOLD ~No.79~』は導きの曲だ

どうも、SideMにすっ転んだ女です。 

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キッカケはライブだったが、そもそもの話SideMは詞と曲がとにかくいい。

どの曲も今の自分を肯定し、前向きになれる曲ばかりだ。

 

私は元高校教師ユニットS.E.Mが好きだ。

『ORIGIN@L PIECES』シリーズより、S.E.Mのソロ曲を自分の見解で読み込んでいくと、アッこれやばい…名曲じゃん…となったので、個人的見解をまとめた。

 

ソロ曲が発表された順番を踏襲し、まずは元高校化学教師の山下次郎のソロ曲『GOLD ~No.79~』から。

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(出典:http://www.lantis.jp/release-item/LACA-15601.html

右上の袖無しの男前が次郎ちゃん

『GOLD ~No.79~』

歌手:山下次郎(中島ヨシキ

作詞:松井洋平

作曲:鈴木盛広 

GOLD ~No.79~

GOLD ~No.79~

  • provided courtesy of iTunes

 

www.youtube.com

(1:46~)

 

歌詞はこちらから。

山下次郎(中島ヨシキ) GOLD ~No.79~ 歌詞 - 歌ネット

 

この曲から感じられること

▶次郎の人生への向き合いの変化

▶押し付けがましくない導き

▶アイドル山下次郎の魅力

 

この曲の魅力を大きく分けると、この3つに集約される。

これらを、次郎の前職に関係する「化学」と、好きなものである「ギャンブル」「金」が掛かけられた遊び心のある詞で表現されている。

 

次郎の人生の向き合い方の変化

1番のこの歌詞。

大切だなんて(Out your sight)思えるくらいの(In your heart)

経験をもっと集めてみなよ…欲しがってみなきゃね

 

次郎はお金をいっぱいもらうためにアイドルになった。

「金さえあれば今頃俺は…」ともらすほど、お金があれば人生が変わってたと考えるくらい、次郎にとって極めて重要な位置の存在だ。

 

そんな考えの次郎だが、この詞では目に見えないものを大切だといっている。お金などの物質と同じ、いやそれ以上かもしれない。

価値の高いものは、見えないところにあるというのだ。

 

「経験」を指す言葉は2番を読むと分かる。

 

目眩く悦びだけじゃ しょうがない
酸いも甘いも全部を纏ってごらんよ
79個も(In your sky)星を飾れば(On your heart)
どんな夢だって輝くかもね…黄金色の奇跡


まず、「酸いも甘いも」の意味。

酸いも甘いも

「酸いも甘いも噛み分ける」、または「酸いも甘いも知る」の略。経験豊富で、甘い経験にも苦い経験にも精通しているさま。

(引用:https://www.weblio.jp/content/酸いも甘いも  

酸いも甘いも噛み分ける
人生経験を積み、人情に精通し、世の中の裏も表も知り尽くしていることのたとえ。

(引用:酸いも甘いも噛み分ける - 故事ことわざ辞典

 

「酸いも甘いも纏う」というのは造語である。

 

この後に続くの詞を直訳する。

79個も(君の空に)星を飾れば(君の心に)


「星」はSideMの曲に頻出するワードであり、多くは輝きの比喩で対象は夢や自分。

ここでの星は何を表しているか。

 

「酸いも甘いも全部」である。

 

文脈と合わせて、言い換えると「経験」

心に飾る星だから、目には見えないもの。

次郎は甘い経験も苦い経験も、輝く星に例えている。

経験全部が星のように輝いているのだから、どんな夢だって輝ける。それを黄金色の奇跡と呼ぶ。

 

纏う の英訳はいくつかあるが、put on 訳すことができる。これは On your heart のOnと掛けているのだろう。

 

ここで1番に戻る。

大切だなんて(Out your sight)思えるくらいの(In your heart)
経験をもっと集めてみなよ…欲しがってみなきゃね

 

大切に思えるくらいの経験は、Out your sight、目に見えないものである。

よって、ここでの「経験」とは「酸いも甘いも全部」と考えていいだろう。

酸いも甘いも全部の経験を欲しがってみなきゃね、と言い換えられる。


ここで少し考えてみる。

 

次郎は、甘い経験も苦い経験もすべてを欲しがっている。

最初にこの解釈をした時、えっヤダこわいと思った。苦い経験をできればしたくないとすら思ってる。

苦い経験ということは、辛い苦しい悲しいという、負の感情を感じることだからだ。


しかし過去、苦い経験があったとしても、今その経験を活かしているのであれば「あの時は本当に辛かったけど、今となってはいい経験だよ」と言えるであろう。

過去の経験を今から見て、甘い経験苦い経験といえるのであれば、未来から見た今も、甘い経験苦い経験といえるはず。

 

すべての経験を活かすということは、嬉しい、楽しい、悲しい、辛いという感情すらも内包しているということだ。

 

次郎はその経験全部は、星のように輝いていると考えている。

 

正直な話、楽しい嬉しいという感情はいい感情で、辛いやこわいという感情は負の感情と思っていた。

同じく頭のどこかで、甘い経験は良いもの、苦い経験は悪いものと考えていた。


しかしどちらも「経験」に変わりなく、良い悪いなんてものはないのだ。

だからこそ、経験全部を星と表現している。輝いている。集める。纏える。

 

SideMのキャラクター達は前職があり、理由(ワケ)あってアイドルとなった。

みんなそれぞれ過去があって、今アイドルをやっているから、過去を絶対に否定しない。

すべての出来事は繋がっているんだ F-LAGSより『With...STORY』 

過去は未来を輝かせてく 315STARSより『Reason!!』

 

次郎はある種腹を括って生きているのだ。

 

サビの部分でも次郎の変化が分かる。
熱くなってみなきゃ→熱くなってんのかな→熱くなってみれば という歌詞の移り変わり。

 

次郎は世の中を斜に見ていた。

前述した金に重きを置いた出来事を含め、昔の経験から人生を諦めていた上に、自己評価が低くい。

よく自分を卑下する言葉を言っており、硲さんに「自分をそんな風に言うのは、応援してくれるファンに失礼だ」とたしなめられることもあった。

 

それが様々なジャンルのアイドル活動を通して、無理だと思いながらやるのではなく、前向きな気持ちで「やってみますか」と取り組み方が変わった。

 

この点をここでは「熱くなる」と表現されていると考えた。

 

最初は意識的にエンジンかけていたが、ふと熱くなってることに気付き、まあそれもいいんじゃない?と肯定した。

そして 熱くなってみれば未来ってストーリーが変わる という確信に至るまで変わった。
ここだけで、次郎ちゃんの人生が詰まっている。Pもファンも涙を禁じ得ない。

 

思い切ってみなきゃ、面白い何かに出会えない(2番サビ)

思い切ってみなきゃ、起こせない 未来って化学反応(ケミストリー)(最後サビ)

 

「熱くなる」が情熱や興味であるとしたら、「思い切って」が行動の起点だろうか。
行動といっても大仰なことではなく、一歩を踏み出すとか、手を取るとかそういう次元だと思っている。

もっというと、行動の起点であるので一歩を踏み出そう、手を取ろうと「欲しがる」こととも考えられる

 

人生/運命なんて賭けみたいなもんだから。

 

先が見えないのは事実。だから諦めてテキトーに生きるのか、だからこそ自分の欲しいモノを掴みに行くのか、それは人それぞれ違う。

 

前者が後者のように生きるには、ある種腹を括るしかない。

こわい、けど思い切って一歩を踏み出す。

誰かが背中を押してくれるのではなく、自分が一歩を踏み出す。

次郎はただ応援したり見守ってくれるのではなく、自分が自分の力で踏み出す一歩のための知恵を提示してくれた。

 

それこそ、酸いも甘いも全部が星のように輝いているという視点。

苦い経験も甘い経験もこわがるものではない、纏って生きればいい。

あとは「思い切って」みればいいだけ。

 

そうすることで、「結構変わっちまう、何もかもが」に繋がるのだろう。

 

Get your heart of GOLD

出たとこ勝負でいいさ…Get your heart of GOLD

この曲の最後の歌詞だ。

 

これを英訳してみる。

heart of gold は、心優しい人・思いやりのある心と訳せるが、今までの歌詞の最後と考えるとしっくりこない。

そのまま直訳すると、金の心を手に入れろ であるが、このままだと意味が通じない。

 

つまりこのGOLDとは、何かを指した比喩表現であると考えられる。

 

他にGOLDが使われているところといえば、タイトル『GOLD ~No.79~』。

79とは金(Au)の元素記号である。「化学」と「金」、加えて「お金」にも掛かってるのだろう。

次郎にとってお金は極めて重要な価値がある。が、前述した通りお金以外にも大切なモノがあるといっている。

よってここでのGOLDとは、GOLD=金=お金=次郎にとって価値が高いモノと言い換えられる。

これを前提として最後の歌詞「Get your heart of GOLD」のGOLDとはどういう意味か。

 

ずっとこの曲で言っていた、経験を活かす在り方そのものなのではないか。

情熱とか思い切ることとか経験を活かすとか具体的なモノじゃなく、それを使う心に価値があるといってると考えた。

 

明確に命令系の歌詞はここだけである。他は、かもね・ごらんよ・そうなんじゃない?みたいな柔らかい口調で、明確に強い口調なのは最後だけ。

だからこそ、ここに次郎の伝えたいことが強調されているように思えた。

 

Get には受け取る・得る・手に入れるという意味のほか、自分のものにするという意味もある。

your heart of GOLDを手にいれろとも、your heart of GOLDを自分のものにしろとも訳せる。

GOLDが価値が高いモノ(情熱・思い切り・経験)ということを踏まえると、感じた感情や思いをすべて受け取れ、とも言えなくない。

 

ここまで書いたが、普通にGOLD=輝くモノと解釈してもいいかもしれない。むしろこちの方がわかりやすい。

心は勝手に輝くのではなく、輝かせるのは自分だから、結局のところ 心を輝かせる在り方を手に入れろ に帰結するのだが。

心を輝かせる在り方は、上記の通りである。

 

押し付けがましくない導き

つらつらと見解を書いたが、この曲は次郎が背中を押してくれたり、寄り添ってくれるものではない。

 

あくまで一歩を踏み出すのは次郎ではなく、自分の力。自発的なモノである。

 

学校で言うと、問の解き方を教えてくれるのではなく、類似問題や応用問題を解けるように教えてくれる。

それに留まらず、教科の勉強の仕方そのものを教えてくれるイメージ。

こういう視点はどうかな?あとは自分次第だよって。

 

自分が変わっても、次郎おかげというより、次郎がキッカケで変われたよって伝える感じ。

あくまで次郎は「キッカケ」。

 

君が(俺が)望んだ君ってやつがチョット

俺の(君の)キッカケになるってことがあるかもしれない

 

この曲は、人間の行動の起点、好き嫌い、感情すらを変えてしまう知恵を、それとなく見せてくれる、次郎の教師としての導きの曲である。

 

アイドル山下次郎の魅力

ここでもう一度、最後の歌詞に戻る。

出たとこ勝負でいいさ…Get your heart of GOLD

先ほど、この最後は明確に次郎の伝えたいことだろうと言った。

しかしこの曲を聴いた人なら知っての通り、次郎、ものすごくセクシーに歌ってる。

 

『ORIGIN@L PIECES』シリーズは、自己紹介代わりの一曲と言われてる。内面が強く表現されており、この曲も次郎自身のことを歌っている。

しかし自己紹介だけではない、アイドル山下次郎が見せる自己表現でもあることに、最後をリピートしているときに気付いた。

 

前述した通り、この最後に次郎の伝えたいことが詰まってると思うが、そこをあえてセクシーに歌う。

次郎はストレートに伝えることをしなくてもいいと思ってる。

それこそ、ほんのチョットのキッカケであればいい。

ただただ曲を楽しむだけでいいし、この曲に勇気を与えられる人はそれでいい。

 

なんかパフォーマンスには絶対出さないけど、こっそり照れ屋な部分が見えないように隠れてて、セクシーなのに奥ゆかしいな…という気持ちにさせられた。 好きだ…。

 

未知への思い切り

ここまで前提として、最初に戻る。

何か欲しいなら、言ってみなきゃね
どうせならもっと、楽しんじゃって
そういう気持ち伝わるもんさ
興味あるなら、この手取って

このド頭の詞だが、最初に読んだとき、日本語としては伝わるのだが意味がわからなかった。

手を取っててどこへだよ。次郎はどの世界へ誘ってるんだ?と、次郎の視点がわからなくてスルーした。

 

最初を飛ばした見解を立てて思った。

ド頭、一番最後にくっつけた方が意味がわかりやすい。

 

この曲は、Aメロ→Bメロ→Cメロ→サビ→Aメロ16小節→Bメロ→Cメロ→サビ→間奏→Dメロ→サビ→サビ→サビ と変わった構造をしている。

1番と2番の間にちょっとあるとはいえ、最初のAメロは独立した存在。

 

ここをを最後に持っていくと、意味としてはわかりやすい。

曲を通して次郎が言ってたことを前提に、この詞を読むとああ、そういうことか、と納得できる。

 

興味あるなら、この手取って

Get your hert of GOLDとセクシーに言ってるからか、次郎の手を取ると、非日常の大人な世界への誘いのように感じる。なんか、こう、ドキドキする。

 

アイドル山下次郎としてはパーフェクトである。

が、おそらくそういう意図ではない。

 

最初に詞を読んだ時の、「どこへ誘ってるのかわからない」の「わからない」という感覚は、予測できない人生の感覚と同じではないだろうか。

 

わからない知らないってこわい。何が起こるかわからないからこわい。

だからこそ、酸いも甘いもをすべて受け入れるという姿勢・在り方が、思い切ってみることの起点となる。

 

「わからない」まま、興味があれば手をのばすーーーこれこそ人生を送るのに必要な「思い切り」なのだろう。

 

まとめ

絶対次郎の曲にもS.E.Mのコンセプトである「人を導く」ところがあるはず…!と思い、いろんな角度から見解を広げてみたらやっぱりあった。

 

一番好きなところはやはり 酸いも甘いも~がある、2番Cメロ。

思い切るには、ただ頑張れ勇気を出せではなく、こわいの理由である失敗したくないという気持ちに対し、そもそも成功とか失敗なんてないよ、甘い経験も苦い経験も、自分が星のように輝かせるものじゃない?という視点は、目から鱗であると同時にロマンチックすぎて心臓を抑えた。オシャレすぎるだろ…。

 

私は何かをするときにめちゃくちゃためらう人間であるから、この曲はとても刺さった。私も酸いも甘いも全部を纏う在り方で日々を過ごすぞい。

 

硲先生編へ続く

 

アイドルマスター SideM THE IDOLM@STER SideM ORIGIN@L PIECES 01

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