ドフラミンゴにとっての家族とファミリー

こんにちは、ドフラミンゴくんが315プロダクション所属ならインテリ、シンデレラガールズだったらキュートかパッション、ミリオンスターズだったら絶対Fairy派のチユコです。 異論は認める。

 

前回

ローとの取引からドフラミンゴは何を恐れていたのか 

 

今回はドフラミンゴの中枢を占めてる家族について考えます。

 

※個人的な感想です。

※「ONE PIECE」ドレスローザ編までのネタバレを含みます。

家族とファミリー

家族は父・母・弟ロシナンテの血の繋がった繋がりであり、ファミリーはドンキホーテ海賊団です。

 

ドレスローザ編でドフラミンゴは自分の部下であるファミリーを家族と呼んでいますが、これはずっとファミリー=家族と思っていたのではなく、そう変化したのだと考えています。

なぜならば13年前には実弟ロシナンテがファミリーにいたからです。

過去編の時はファミリーを家族のような存在とは思っても、家族そのものではなかったんじゃないでしょうか。

では一体いつから組織であるファミリーを家族と言い始めたのか。

本編で描かれた通り、実弟ロシナンテがファミリーを裏切ったことが確定した時です。

 

ロシナンテに裏切られて「実弟に裏切られた。側にいて慕ってくれるファミリーを今まで以上に大事にしよう」ならよかった。

ドフラミンゴの場合「実弟に裏切られた。おれの家族はファミリーだけだ」になっちゃった。

ああ~~~~~そっちいっちゃったか~~~~~~~~~

家族のカテゴリーにファミリーがスライドしてきちゃった!!!

 

血の繋がり、ファミリーもそうですが、他者との<確かな繋がり>を求めていたのかな~と考えてます。その中で家族は生まれて一番初めのコミュニティですから。

ドフラミンゴは家族の価値観が高い上に、父と弟を自らの手で引鉄を引きより取り返しがつかなくなったから、家族そのものに囚われていた感じがします。

 

ドンキホーテファミリーについて

ドフラミンゴは育った環境によってファミリーに入れるか入れないかを決めています。

ドフラミンゴに憧れていたベラミーは、北の海の裕福な町で育ち、退屈だからという理由で海賊になりました。

海賊にした父親を思い出すベラミーを、シンボルは貸しても最後まで幹部(部下)にすることはありませんでした。

ただベラミーに「敗けたら旗を返せ」と言いつつ、少なくとも2回はチャンスを与えています。ドフラミンゴの優しさなのか情なのか。

私は仲間や部下を失ってまで空島に行き黄金の鐘を土産に自分の元に来たベラミーを、かつて父の首を持って聖地へ行った自分と重ね合わせ拒否することはできなかった派です。

 

別記事で書いた通り、ドフラミンゴは「天竜人である(あった)」「凄惨な経験をしたこと」が自分という存在証明と思ってそうなので、ドフラミンゴは不幸な経験をしている者でしかファミリーに迎え入れません。

人間に迫害され、安全な場所に住む天竜人にも追われた自分を受け入れてくれたのが現最高幹部達のように、自分も同じことをファミリーにしています。

 

裏切りは許さない

ドフラミンゴはファミリーの失敗は咎めないが、裏切りは許さない。

ロシナンテが存命の時もこのように考えていたのか、裏切って以降このような考えに至ったのか定かではありません。

 

この「裏切りは許さない」を聞いてどう思いました?

私は苛烈だと思ったのですが、全部知ってから考えると裏切り者には死という掟でファミリーが自分の元から離れないように囲っているような気がしませんか?

ドフラミンゴは「人間は残酷」という考えを持っていたので、ファミリーに対して「いつか裏切るかもしれない」という仄かな不安があったのかもしれません。

 

ベラミーを見る通り、ドフラミンゴは今現在自分を慕っているとわかっていても、過去の境遇が不幸でなければ部下にすることはありませんでした。

”今”相手が自分をどう思っているか?より、境遇が自分と同じ(で裏切らないだろう)人を迎え入れるんですよね。

 

血の繋がりという<確かな繋がり>があるのが家族ならば、ファミリーは不幸な境遇であったことを<確かな繋がり>とした集団です。

人間は社会と繋がっていたい欲求があるし、<確かな繋がり>って一種の安心ですから。

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ファミリーは若の為に命を捨てられる覚悟をしている

見た感じファミリー「若のために死ぬ」覚悟はあったように見えるけど、そういう教育を全員にしていたか?と言われると断言できません。

ロシナンテに電話でオペオペの実について伝えた時、ロシナンテ自身が56される思い込んでましたが、ドフラミンゴは「お前が食え」と言っただけ。

ただコラソン・ファミリー最高幹部は「オペオペの実の能力者は不老手術を施すことができる」「手術を施したら術者は死ぬ」ということは知っていました。「ドフラミンゴは不老手術を受けたい」も共通認識だったかも?

 

ドフラミンゴは弟が裏切ってるとは信じたくなかったので、ある種の試し行為だったのでは?と思います。

じゃなきゃコラソンに傷一つでも付けたら処罰する掟なんて作りません。幹部で実の弟にする試し行為じゃないよとは思いますが。

 

「ローにおれのために死ねる教育する必要がある」発言は、裏切ったコラソンへの当てつけではないかと考えてます。

なぜならドレスローザ編でローに「オペオペの実をお前に食わすつもりはなかった‼恩を仇で返しやがって‼」と言ってるので、子供のローに食べさせようとはしなかったように見受けられます。

ドレスローザの王宮で確かに「おれのために手術しろ(要約)」と銃を突き付けて言ってたけど、あの時点でローとは完全に敵対してたので子供のローを手術させるために育てたことにはなりません。

 

ドレスローザ編を読んだまでは、不老手術が国宝の何に必要なのかさっぱり分からないので、また認識が変わるかも。不老手術が必要な国宝って何?ドフラミンゴが不老にならないといけないの?不老だけだったらシュガーがいるじゃん…?

 

閑話休題

そう仕向けたから覚悟を持つ人ばかりなのかは不明ですが、ドンキホーテファミリーは、ドフラミンゴのために死ぬ覚悟がある人ばかり。

ただパンクハザードでドフラミンゴはモネに「すべてを巻き込んで死んでくれ」と命令している一方、ファミリーが命の危機にあれば自ら助けに行きます。

ジョーラを人質にしたローに「あいつら全員(麦わらのこと)人質にすりゃシーザーなんてすぐ返しに来る」って言ってましたが、今その発言をしてるドフラミンゴが人質を助けるムーブをとってるんですよ。

 

モネに命令する時だって、いかにも傷心してますって後ろ姿から「ファミリー(家族)を失いたくない」は間違いなく本音だと思います。

ドフラミンゴ個人の感情面ではそう感じていても、必要とあればファミリーのボスとして命を武器にする決断をする。

でも失いたくないのもほんとだから、目が届く範囲では助けに行く。

 

なぜこんな難儀なのかというと、父が要因と考えます。

天竜人の権利を放棄した父が原因で、母は病気死し一家は人間の天竜人へ恨みから壮絶な迫害を受けます。

父の首を持って聖地に帰ろうとするドフラミンゴに対し、父ホーミングは「こんな父でごめんな」と息子に56されることを受け入れました。そして聖地に戻ろうとしたが、逆に天竜人からも追われることになった。

結果として父を56してドフラミンゴが得られたものって何もないんですよ。

むしろ実弟も自分の元がいなくなるわで、無意味・無価値であった。

※ドフラミンゴ側がロシナンテは死んだのか失踪したのかどう捉えていたかは不明。

「父が自分のために死んだ」。

父を56したことに意味を付けることによって、幼きドフラミンゴは自分の心を守ったのではないでしょうか。

父を56したのは無意味ではなかった、父は命を自分に差し出したのだ、と。

 

本当に憎しみだけなのであれば「済々した」みたいな感情になりそうですが、ロシナンテを撃つ直前に「なぜおれが二度も家族を56さなきゃならねェんだ!!!」と叫んだことからめちゃくちゃ引きずってることがうかがえます。

「無意味だった」とするには気持ちが耐えられなさそうであり、「あれはしょうがなかった」とするには割り切れない、「撃たれて当然の父だった」とするには切り捨てられない愛があった。

父が謝り撃たれることを受け入れてたことから「命を差し出した」行為をもって、<家族>としたのか<家族からの愛>としたのか…。

父が謝ったことで、死をもって許しを与えた=父が自分に命を差し出した=自分のために死ぬことができるのが家族or愛

全部を言語化しようとすると本質からズレてしまう気がしてなりませんが、あえて言葉にするならこんな感じ。

 

先述した通り、家族のところにファミリーがそのままスライドしてきてしまったので、ファミリー=自分のために死ぬみたいな考えになったのではないでしょうか。

ただドフラミンゴが家族や部下を失いたくないと思っているのも真実。

失いたくないのに、モネの言葉に甘えないで「…悪いな 全てを道連れに…死んでくれ…死んでくれ…‼」と自分の口で伝えるんですよ。

そういうところは逃げずに責を負うのは、ファミリーの長で王だし悪のカリスマです。

それでめちゃくちゃメンタル削れてるのですが。こういう難儀なところほんとに好きだよ。

ただドフラミンゴは命を差し出す行為を愛や家族と自覚はなかったと思います。自覚があれば引きずらないと思うんですよね。

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最高幹部達との関係

ファミリーの最高幹部達、トレーボル・ディアマンテ・ピーカ・ヴェルゴとの関係性は、他のファミリーと少し違います。

ディアマンテ・ピーカ・ヴェルゴは、元々トレーボルをボスとしたコミュニティにいました。

トレーボルは覇王色の覇気を持つドフラミンゴに王の資質を見出し、ボスを譲る形でドフラミンゴがトップに据えられました。

ドフラミンゴが王になりたいとも、船長をやりたいとも望んだのではない。

 

ドフラミンゴとファミリーは、ワンピースに出てくる海賊中で異質な成り立ちです。

他の海賊団だと船長は他の船でのクルーの経験がある人が多いですが、ドフラミンゴは最初から組織の長になります。しかもまだ子供。

さらに一から自分でクルーを集めたのではなく、元からある組織のボスを譲られる形での旗揚げってドフラミンゴファミリー以外にありましたっけ?いても数少ないと思います。

ドンキホーテファミリーのクルー(後の幹部)は、ドフラミンゴが迎え入れることを決めても、最高幹部達はドフラミンゴが選んだのではなく選ばれたという違いがあります。

 

ドフラミンゴと最高幹部達

最高幹部達に迎え入れられたドフラミンゴですが、無条件ではありません。

覇王色の覇気を持つドフラミンゴに王の資質を見抜き、ドフラミンゴのすべてを肯定する代わりに夢を見させること、自分たちの王の役割を求めました。

その内の一つの夢が「ドフラミンゴが海賊王になること」です。

そう、ドフラミンゴ自身は海賊王になりたい訳ではなく、すべてを肯定してくれるファミリーが求めてるから王として応えているのです。

なんでそうしてるかって、どこにも安全な場所がなかったドフラミンゴを最初に受け入れてくれた人達だから。

 

一見「すべてを肯定してくれる相手」は望ましく見えますが、貴方はそのままで価値があるという肯定ではなく、王の役割を求めているのでギブアンドテイクです。

しかも肯定の内容がやばい。

 

王たる者は膝をつかない

ドフラミンゴが転べば道ごと街を燃やす。

ドフラミンゴの心がどうであれ、進むべき道を整える。

トレーボルの言う「悪のカリスマに育つ」道です。

vsルフィ戦でトレーボルが「ドフィ‼王たる者これ以上膝をつけるな‼」と叱責しました。

王たる者の姿の理想がありドフラミンゴはそれに応えるこの関係が、ドフラミンゴと最高幹部達の関係です。

 

最高幹部達とまとめたけれど、当たり前ですがドフラミンゴへの対応は人によって違います。

唯一年下のピーカはドレスローザで失態を犯したトレーボルとディアマンテに思うところはありそうだったし、ドフラミンゴの胸中を考えるような描写がありました。

非常に真面目に仕事をしており、ドフラミンゴを海賊王にしたいと思っていました。

トレーボルには近寄るなと言いつつ参謀にしてるし、ディアマンテも年上ですが漫才みたいなやり取りをしてディアマンテをヨイショしてます。

ヴェルゴはドフラミンゴの心に寄り添っていた以外は何もわからない。相棒と呼ばれてたので一番近しい人だったとは思います。

 

当然ながら家族になるためにファミリーつくった訳じゃないですし、ドフラミンゴを拾い上げた(本人談)トレーボルだってその時18歳ですからね。

ただ最高幹部達とはお互いに情はあったと思います。

北の海、シンプルに治安が悪いから、家族というものを知らない子供達が集まって家族のような関係を築いてたらと考えると嫌いになれるわけないんだよ…。

トレーボル、10代の時から杖ついてるしドレスローザ編でも足枷みたいなのをし続けてるのはなんでなの…。何があったの…。

 

最高幹部達が王たる姿のドフラミンゴを肯定してる、というのはドフラミンゴに真の安心をもたらすものではなかったと思います。

すっごい好き勝手してるように見えるのにね、ドフラミンゴくん。意外と相手によってめちゃくちゃ対応を変えてるんですよね。

 

ドフラミンゴはファミリーを不幸な境遇から救い上げて受け入れて「こいつらには自分しかいない」という状態にしてるのにもかかわらず、出てくる言葉が「おれにはこいつらしかいない」なんですよ…。 「おれにはこいつらしかいない」だよ………ア…ア…

強くてどこでだって生きてそうな力を持った男が、誰よりもファミリーに居場所を求めてるのが歪でもなんでも”愛”はあったと思います。

世間から否定されても自分たちは肯定してやるって場所なんですよね、ドンキホーテファミリーって。

 

以上、ドフラミンゴの家族とファミリーをどう思っているのかの感想です。

組織であったファミリーが家族のようになっていき、実の弟が現れ裏切ったことで家族の位置にファミリーがスライドしてしまったと解釈しました。

過去編の時点でドフラミンゴは実弟ロシナンテと過ごすより、最高幹部達と過ごした年月の方が長いので、事実家族以上に苦楽を共にしてるんですよね。

それこそローが倒しにこなければ平穏に暮らせていたのではないでしょうか。

 

つづく。