ドンキホーテ・ドフラミンゴは世界と人間を色眼鏡で見る

こんにちは、チユコです。

みなさんは「ONE PIECE」のキャラクター、ドンキホーテ・ドフラミンゴをご存じでしょうか。

ノリノリで踊っている彼

 

新世界においてルフィ達の前に立ちはだかる敵であり、厄介な悪役でありながら垣間見える歪みが非常に人間みを感じさせてくれる味わい深いキャラクターです。

彼を知って早数ヶ月、考えない日がないほどどっぷりとハマっております。

 

というのもドフラミンゴは色付きのサングラスをかけ表情が読み取りにくい上に、貼り付けたような笑顔が一層感情を読めなくしてます。

言動と行動が矛盾しその矛盾から彼の気持ちを読み解きたくなるような、複雑な内面性を持っています。

 

ドフラミンゴへのクソデカ感情を内に秘めたままでは私が耐えられないため、コツコツ数ヶ月かけて書きました。

本当は1記事にしたかったけど無理だったので、少しずつ小出しにして追加していきます。

真面目にする推し解釈はなんぼあっていいよね。

いろんな角度からドフラミンゴくんのことを深めたい。

 

※個人的な感想です。

※「ONE PIECE」ドレスローザ編までのネタバレを含みます。

ドフラミンゴを知る上でまず考えたいのが、ドフラミンゴは自分自身をどう認識していたのか。

そして世界をどう見ていたのか。

これを考えることで、ワンピース世界で生きてるドフラミンゴの価値観の根幹に触れていきます。

 

自分は何者で在るか

まずドフラミンゴ自身は、自分で自分のことをどう認識していたのか。

ずばり「堕ちた天竜人である」です。

ドフラミンゴは「天竜人である(あった)」ことと「凄惨な迫害を受けた経験」に価値を置いてます。

 

作中でドフラミンゴが主体性をもって口した、叶えたい夢や野望らしきことが「世界をブチ壊す」でした。

もう少しいうと「天竜人が牛耳る世界を破壊したい」になります。

ドフラミンゴが凄惨な迫害のひとつは下界に降りた先の人間に受けたこと。

もうひとつは父の首を持って聖地帰ろうとした際に、帰るどころか逆に天竜人に56されそうになったこと。

生まれただけで最も偉い、父が権利を放棄した降りた先での悲惨な環境といった不幸な経験が「世界をブチ壊す」「天竜人共が牛耳る世界を破壊したい」夢の原動力となっています。

 

「おれは天竜人だぞ!!!」って言ってたし、今もなお天竜人だと思ってない?ドフラミンゴは天竜人に戻りたいのでは?と思われるかもしれません。

私個人の見解としましては、生まれ持った血への誇りは持てど、戻りたくはないんじゃないかと考えています。

天竜人に戻る=天竜人が手にする権力が取り戻せるだと思うのですが、事実ドフラミンゴは天竜人にしか動かせないような権力を既に行使しています。

CP0を動かし虚偽の情報を大々的に報じ、海軍の総帥である赤犬が世界政府のトップである五老星に直々に批判していた程の影響力がありました。

ドフラミンゴが”今”天竜人と同じように行使できる権力を持っていても、幼少期に権力を奪われ壮絶な迫害を受けた経験をした意味での「堕ちた天竜人」です。

天竜人共が支配する世界をブチ壊したいのに、「おれは天竜人だぞ!!!」と発言すつよころにドフラミンゴの歪さが見られます。

この発言も不幸自慢のように聞こえなくもない。

 

なお天竜人が本当にただの人なのか、Dの一族のように種族は違えど別の何かがあるのかは未だに判明していないので、こでは現ワンピース世界の支配構造において最も高い権力をもっているという点のみで話してます。

血に何か別の意味があるなら解釈が若干変わるかも。

 

世界の見方、人間の定義

自認が「堕ちた天竜人」のドフラミンゴは、世界をどのように見ていたか。

どういうフィルターを掛けて世界を見ていたのか、世界や人間の定義と価値観を考えます。

 

「ーーこのゴミの掃き溜めの様な世界に下りてきた‼」

「この世で天国と地獄を見たおれは(略)」

「天国にいる天竜人達は裏切り者の一族を二度と受け入れなかった…‼」

「この地獄から出る術はない」

全部ドフラミンゴが言ったことです。

天国とは天竜人が住む聖地マリージョアのことですが、文脈と合わせると命が脅かされることのない安全な場所ともとれます。

安全な場所と権力ですね。

地獄とは人間の住む世界です。

世界の見方が非常にネガティブ。

 

さらに人間の定義もネガティブです。

「人間は皆残虐である」

「人間にはどんな人格者にも血を見て興奮する残虐性が眠っている」

これです。

「残虐性が眠っている」のがミソで、今目の前の人が残虐か残虐じゃないかは関係ない。

だから「人間は皆残虐」。

 

安全と安心って違いますからね。

安全は物理的な場所を指しますが、安心は心です。

ドフラミンゴは近くにおいてる人にも、裏切りという不安があって心からの安らぎは得にくかったんじゃないか思います。

ファミリーに関してはドフラミンゴのいう家族と組織がごっちゃになってて複雑なので、また別記事で書きます。

 

ドフラミンゴは「堕ちた天竜人である」という自己認識で、「人間は皆残虐」「掃き溜めみたいな世界」というフィルターを通して人間と世界を見ています。

人間に迫害され、救いを求めた先で天竜人からも56されそうになったドフラミンゴは、重ねて救いを潰されてます。

そんなドフラミンゴを受け入れたのが今の最高幹部達です。

あの時のドフラミンゴにとっては、唯一の安全な場所であの時はここしかないという気持ちだと思いますよ。

まあ父を56せる銃をくれたのも最高幹部のトレーボルなんですけど。

武器と悪魔の実を与えられる時「56したい奴はいるか?」だったので、ドフラミンゴの憎しみを増幅させる言葉だなあと思いますが、トレーボルもまだ10代で治安と環境がめちゃくちゃ悪い場所でしたからね…。

トレーボルに父の首で聖地に帰れると吹き込まれたのでは?という予測もありますが、私は感情的な理由により否定派です。

あえて確定させないことで誰かが悪いのではなく、環境や世界システムのどうしようもなさを感じられるところだと思うので。

 

キャラデザがすごい

ドフラミンゴが色付きのサングラスを掛けてるのは、感情を隠したり真意を悟らせないように、人も世界も色眼鏡で見てるということ。

またその心は近しいファミリーにですら伝わっていないだろうと推測でき、まんま見た目通りのキャラデザになってます。

大人の関係と明言されたヴィオラがギロギロの実の能力者であり、ドフラミンゴの思考や記憶は、人知を超えた悪魔の実の力でしか知る(覗く)ことができないのが一層ドフラミンゴの孤独さを浮き彫りにしてます。

 

人間みな誰しも世界を自分の定義や価値観というフィルターを通して見ているのですが、ドフラミンゴは子供の時から更新が入らずむしろ肥大化させてます。

幼少期は天竜人の世界、その後は裏社会とドフラミンゴは極端な世界しか身を置いていないからです。

ドフラミンゴに道を示してくれる善側の人間もいませんでした。

だからルフィに敗北してどんな時でも外れなかったサングラスが割れるのは、世界や人間の見え方が強制的に変えられる演出でもあると思うのです。

固定観念に囚われたことの解放。

 

ただそんなドフラミンゴは、闘魚の赤ん坊をファミリーに入れたり、世間では伝染病といわれる病気が中毒だと知っており、さらに本を読んで知識を得る人物でもあります。

偏見はないが、固定観念(固着観念)が強い。

そういう意味の色眼鏡です。

 

ドフラミンゴの価値観、世界と他者のフィルターから考えるドフラミンゴ像を考えました。

このことをベースにドフラミンゴについてさらに考えていきます。

続き。