ローへの執着とドフラミンゴが求めていたもの
お久しぶりです、チユコです。
記事を浅漬けするつもりがすっかり熟成期間になってた上に、結局半分以上書き直すはめになりました。
今回はかつて右腕に見込んだ男であるトラファルガー・ローとの関係から、ドフラミンゴくんを考えます。
※超個人的な感想です。
※推測を多く含めます
※ホールケーキアイランド編までのネタバレを含みます。
トラファルガー・ロー
政府に家族・友達・故郷を滅ぼされ、残り3年の命で「全部壊したい」とドンキホーテファミリーの門を叩きました。ドフラミンゴは自身の右腕とするべく10年後を見据えて育てました。
初見でドレスローザ編を読んだ時、ローのこと割り切りが上手で健全な精神をしてる男と思ってたけど、読めば読むほどわからなくなりました。
恨みじゃねェ 本懐だ
ローがドフラミンゴを討ちにきたのは、ドレスローザを救うためではなく、命を救ってくれた恩人コラさんの目的が「ドフラミンゴを止める」だったので、その目的をコラさんの本懐とし、代わりにドフラミンゴを倒すために生きてきました。
ドフラミンゴに「お前のやってることは逆恨みだ」と言われ、「恨みじゃねェ 本懐だ」と返したことから、ドフラミンゴを復讐の相手とはしていません。
と言いつつも、死にかけ(医者の見立て)のドフラミンゴに「あの時死ぬべきはお前だった…!!」と言い、自身が満身創痍にも関わらず、這ってでもとどめを刺す行動をとっています。
あくまでローの心は、恩人の本懐であることに疑いようはありませんし、ドフラミンゴを討つことに迷いはありませんが、個人としてのドフラミンゴへの所感は、敵!くたばれ!みたいなストレートな感情ではなかったのかな、と思います。
そもそもローがドフラミンゴを討つ目的は、自分を守って死んだ恩人の目的だからであって、ドレスローザを救うことではないと感じました。
結果としてドフラミンゴを討てばドレスローザを救うことになりますが、ローは国民との交流は薄いし、その辺に心を痛めてる感じはない。
「あの時死ぬべきはお前だった…!!」と言ってる時に思い出してるのが恩人コラさんの姿なので、ローはドレスローザ云々というより、コラさんを失った悲しみがあり、何も返すことができなかったコラさんの思いを本懐としたという見解です。
ローが「お前が死ぬべきだった」とドフラミンゴに言ってるからか、ローはドフラミンゴが嫌いという言葉をまあまあ見たのですが、嫌いとするにはローの行動が不自然なんですよ。
どう見てもドンキホーテファミリーのジョリーロジャーのオマージュなんですよ、ハートの海賊団。
ローにとってはおそらくコラさんを意味してますが、それでも敵の船のオマージュにするか?って話。ローそういうのめちゃくちゃ嫌がりそうなんだけど。
話の設定上そこまで決まってなかったというメタとしても、そうすると恩人と敵を一緒くたにすることになるので、自分の海賊団に対してもコラさんに対してそれでいいんかロー…!!ってなっちゃう。 そんなローは嫌だ。
ローはファミリーの最高幹部に対して「一緒にされたくねェ」とボロクソ言ってるのに、ドフラミンゴに対しては言ってないんですよね。「非情かつ冷酷な男」くらいでしょうか。ドフラミンゴはこの言葉に肯定も否定もせず、「…そうでもねェさ おれは充分頭にきてる…」と続けています。
だからローの「お前が死ぬべきだった…!!」は、恩人を56したドフラミンゴが嫌いだから出たセリフではなく、コラさんを56された悲しみと、よりにもよって56したのがドフラミンゴだった怒りから吐き出された言葉だと考えました。
船長としてファミリーを崩壊させるスパイを56すなというのは、同じ船長のローなら予想がつくでしょう。
同じ船長の立場で共感できそうな返しをしないように、満身創痍のドフラミンゴに「弟を撃ったこと」を持ち出すことで、「撃つ選択は間違いだった」とドフラミンゴに認めてほしそうにも見えます。
ドフラミンゴの強さや考え方、よく言ってた言葉を丸パクリしているなど、海賊トラファルガー・ローに血肉になってるからこそ、「お前ならコラさんを56さなくてもうまくやれたんじゃないか」みたいな信頼があったんじゃないかと思うのです。
これの前のやり取りで「文書が海軍に渡ってたとしても、ドレスローザの王位にはついた」「コラソンの行動は無駄だった」とドフラミンゴが言ってたことが効いてきます。
だったらコラさんが56されなくてもよかったじゃんってならない? 私はなったよ。
余命数年の自分の未来を信じてくれたのに、「おれのために死ねる教育」発言と合わせて、ローもドフラミンゴに裏切られた思いがあったのかもしれません。
ロー本人は恨みじゃないと言う割に、自分が満身創痍でも体を引きずってまでドフラミンゴを自分の手で56そうとして、同類と言われ「それで結構」と返した後に、「あの日…死ぬべきなのはお前だった‼」とドフラミンゴに言うってなかなかです。
というか、今際(医者の見立て)のドフラミンゴに伝える最期の言葉がこれって、ローくんすごい苛烈だな…。
こんなセリフを吐いても「ローはドフラミンゴに復讐した」と言う人は誰もいないのではないでしょうか。
「恩人の敵をとった」も違くて、ローの言う「ドフラミンゴを止めるという恩人の本懐を遂げた」は真実だと思うのです。
だからこそ、「恨みじゃねェ」も嘘ではなく、ローからドフラミンゴへの感情は、かつてのボスへの信頼とその信頼を裏切られた気持ちがあったのかもしれない、という見解です。
ローはドフラミンゴに執着はしてないけど、ある種の執念深さがあった印象です。
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ドフラミンゴの行動
ローの言葉はかなり信用できるけど、ドフラミンゴの言葉はあまり信用できない。
なぜならローは子供の時から自我が強く、自分がどうしたいかが明確ですが、ドフラミンゴは目の前の人に合わせがちだから。
だから言動より信用できる行動からドフラミンゴの思いを考えようとしましたが、その行動すらコロコロ変わる。
ぶっちゃけると、ローに対して56したいのか助けたいのかよくわからん行動に整合性を求めるのは不可能と判断してます。
ただファミリー側からはローに対して13年コンタクトをとってなさそうなことから、目の前にローが現れたらかなり感情を動かされてしまったのだと考えてます。
部屋の片付けしてて、奥底にしまっていた物を手にとった途端に、捨てにくくなったりする感じ。日常で一回も思い出さなくても、目の前で手にしたらなんかとっとこ~って思うことあるじゃん。 あんな感じ。
裏切りが確定したパンクハザード編ではローを56す気満々だったのに、ドレスローザ編は56そうとするわ生かそうとするわ、ドフラミンゴ自身ローをどうしたいかが全然定まっていない。
迷いもあるし、ドフラミンゴ自身何が本心なのか、何が欲しいのか自覚がないからそうなったのではないでしょうか。
同類に何を求めていたのか
ドフラミンゴはローという自分に似た子供を右腕にしようとし、裏切ってからも<同類>と評しました。
この<同類>は、何をもって同類なのか。
そしてドフラミンゴは<同類>に何を求めていたのか考えます。
まずローを右腕にしようと育てた理由。
子供のローがドフラミンゴの元を訪れ、過去の話を聞いた上でファミリーに迎え入れています。
過去に不幸な経験をしていて且つ、自分が死ぬのではなく世界を滅ぼす考えに至ったことを見出した。
ドフラミンゴやコラさんも「昔のおれ/兄を見ているようだった」と言ってるので、ドフラミンゴ並びに周囲からは似ている点としてあげられています。
ただ、ローは世界を滅ぼすのも本懐を遂げるのも、原動力は大事な人を失った悲しみですが、ドフラミンゴは自身をこんな目に合わせた世界への恨みや憎しみという違いはありますが、考えと行動に関しては同類といってもいいでしょう。
ローに何を求めていたのか
ドフラミンゴってローに執着してたじゃないですか。
ここでいう執着とは、56したいのか生かしたいのかよく分からんムーブのことであり、
それはローに何かを期待していて、他でもなくロー自身に何か求めていたものがあるから執着したのだと考えます。
じゃあそのローに一体何を求めていたか、なんですけど。
1、オペオペの実の能力者だから
「不老手術をして死ぬかわり、お前の望みを何でも叶えよう」と言ってたし、ロー自身でなく、悪魔の実の能力の方だ重要だったパターン。
ただオペオペの実を当初ローに食べさせる気はなかったのと、「同類」発言でロー本人に関心を向けている節々があるため、クリティカルではない。
2、右腕候補だったから
右腕って肩書大きく感じるけど、正直ドフラミンゴのいう「ハートの席」の意味の方が重い気がする。
だからこれも芯ではない感じ。
3、同類だから
ドフラミンゴがローを受け入れ、右腕候補として育てた理由は、「自分と同じようなクソみたいな目つきをした同類だったから」です。
分かる範囲でローがファミリーと違う点は、同類であるかないかだと思います。
そして裏切ったローがこれからドフラミンゴにトドメを刺そうとした時の会話。
「コラさんが引鉄を引かない事をお前は知ってた…」
「…フフ」
「おれなら引けた」
「!! …フッフッフ!!だろうな… お前は…おれと同類だ」
「…ああ それで結構だ」
これドフラミンゴの反応はいろんな解釈になりそう。
私はローが(引鉄を)引けたと言ったことに喜んでいるように見えます。
コラさんがドフラミンゴに撃たれた時、「自分があの場に立っていたらお前を撃てた」とローは言っており、それに対してドフラミンゴは喜び同類と伝えた、というのが私の見解になります。
つまりドフラミンゴは、世界を滅ぼそうとしたことに共感しただけではなく、肉親とファミリーのボスという違いはあれど「庇護者である大人を撃てる子供」という点にシンパシーを感じたのかもしれません。
ただこれは、ドフラミンゴは元から子供のローに子供の自分を重ね合わせており、ドレスローザでのこのやり取りで考えが強化された、という話です。
本当にローがあの場に立ってたら撃てたかはさておき、子供の時も大人になってからも結果として撃たなかった(撃てなかった)ロシナンテとの対比だと思います。
ドフラミンゴはローに何を求めていたか。
それは同類のローに理解してもらいたかったのかな、と。
ドフラミンゴが海賊の道を歩む最初のきっかけは、父を56したことです。
この結果得られたものがなく、気持ちが昇華されることなく、理性で無理やり割り切ることしかできなかった。
ドフラミンゴって別に無法者ではなく、世間から見た自分の行動が悲劇だと理解してるし、家族56しをしたくないと思ってます。 家族以外の人を56すことに罪悪感はない。
父を56したのは間違ってないし、後悔はしていない。でも心は傷付く。そして引きずる。
そういった経緯と心境ひっくるめて全部を理解して欲しかったのかな~。
この考えだと、ファミリーでは満たせないのも分かるんですよね。
最高幹部達と出会った時の様子から察するに、ファミリーの多くは家族というものを知らないか、家族がいても口減らしで捨てられたとかで、家族との愛を知らない人も多いと予測できます。 ベビー5は口減らしでも本当は親の愛はあったとの考察もありますが、本人は受け取れてない。
ドフラミンゴは家族の愛は確かに感じてたからこそ、今もなお苦しんでいた。
ドフラミンゴの過去を重視するのと、ファミリーに対してはあまり本心を言ってなさそうということと合わせて、家族愛を知っていて且つ世界をブチ壊そうとするローに、それを理解し肯定してほしかったのだと考えました。
理解と肯定という言葉を使いましたが、共感はおそらくヴェルゴがしてくれてるんですよね。
ドフラミンゴが相棒と呼んでたヴェルゴが、ドフラミンゴの言うことに「わかるよ」と共感してるけど、本当にわかってるのかな?
生まれて一番最初にして、一番身近なはずのコミュニティが、ワンピースの世界では知らない人も多い。
ヴェルゴはおそらく知らないんじゃないでしょうか。
本当に理解してるかは分からないけど、それでもドフラミンゴの心を思う描写がありました。
ドフラミンゴはそれを否定してないことと合わせると、この二人の関係も美しいなと思います。
閑話休題。
ローが「おれなら(引鉄を)引けた」は、かつての自分が父を撃ったことのある種の肯定だったのではないでしょうか。実際にローが撃てるかどうかはともかく。
自分と同じように実行できる同類のローに理解され肯定されることが、今までの人生をやっと自分で肯定できることだったのかもしれない。
同類というのがミソで、つまりドフラミンゴは自分で、特に父を撃ったことを、心の底から肯定できてなかったんじゃないかな?と思います。
ドフラミンゴは自己を尊ぶ必要が誰よりもあるのに、他者に肯定を求めてしまうところがあるからこじれちゃった。
そもそも環境のせいで自分で自分を肯定するより、他者の肯定の比重が高くなってしまったから…。さらに心の悲しみ・苦しみの傷の自覚がないから認識の変更がさらにし辛いという三重苦。
本来であれはドフラミンゴは自分で自分を肯定することが特に必要なのですが、心や感受性を葬って生きて来たからねドフラミンゴくん。
ドフラミンゴにとってロシナンテもファミリーも本人なりに愛してて(愛と認識してたかはわからん)、裏切ったロシナンテを撃った結果、旅で懐いたローに「肉親よりファミリーをとった」と捉えられたのは残念だったね…としか言いようがないです。
でも心を葬らないと生きていけないし、自覚があっても癒す術を知らなそうで、常人だったらどこかで壊れていたけど、心を癒せず、心の底から肯定できなくても後悔はせず、すべてを飲み込み突き進めるのがドフラミンゴの強さです。
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起こった結果だけが現実
ローとドフラミンゴは本人も本音はともかく同類であり、ロシナンテも子供の時は似ていると言ってます。
ドフラミンゴが不運だったのは、父を56そうとしたことじゃなくて、56せてしまった結果だと思うんですよ。
ローもファミリーに来た当初、56すつもりでコラソンを刺しましたが、目撃者がいたこともあり、56すまでにいたりませんでした。
ロシナンテが生きてて、後に刺されたのは痛くなった、お前の方が痛かったなって誰に聞かれるまでもなく泣いたからこそ、ローは心を動かされたんです。
ドフラミンゴの場合、その行動に至った心を理解する人はいなかったし、自分で肯定しようにも結果として聖地には帰れず、弟はいなくなり、行為自体が無価値だったことが本当に悲しい。
気軽に人を撃ってたドフラミンゴが、取り返しのつかない行動として父を撃つの、子供がそこまで追い詰められたことの痛ましさ。
ドフラミンゴが銃の扱いに慣れていたからこそ、結果父を56せてしまった。
ドフラミンゴは父だけを撃ったことから兄弟で帰ろうとしたと思うんだけど、兄の心を弟は知らないし、弟の心は兄は知らない。
起こった結果だけが現実。救いなさすぎ。父が謝って受け入れたのもまずかったね…。
ローにとってのコラさんが、ドフラミンゴにはいなかった。ロシナンテにもセンゴクがいた。
いたとしてもちょっと年上で子供だったトレーボルだし、道理を知ってる大人ではないのがつらい。
ミニオン島の出来事は、ローにとってもドフラミンゴにとっても悲劇だったので…ロシナンテ一人だけ満足した顔しやがって…;;
ロー、ドフラミンゴが「船長としてコラソンは56しかなかった。おれだって56したくなかった」って言われたらどうするつもりだったんだろう…ローの心動きそうじゃん…。
まあ、もしもの話なのでこれ以上はありません。
ローって昔から他者の期待に沿うのではなく、かなり自我がはっきりしてるじゃないですか。
ファミリーに来て早々ドフラミンゴの言うこと聞いてなかったけど、コラさんの言うことも聞いてないからね。
コラさんの「アイツは自由だ もう放っておいてやれ‼」を、結果としてローよりドフラミンゴの方が遺言通りだったのは味わい深い。
正直ローの本懐を遂げた今だからこそ、ドフラミンゴと相対したらドレスローザ編とは違った感情が出てくるんじゃないかな~って思います。 今会ったら関係性が更新されそう。
それよりまずドフラミンゴくんが早くシャバに出ることの方が大事ですよ!!
ただ数々の悪行があるから、早く脱獄してほしいとは言いづらい。
ドフラミンゴくん監獄ダービー
本命 戦力増加のため、政府の首輪付きで出所させられる
対抗 誰かと協力して脱獄
大穴 出番なし
大穴は嫌だ!大穴以外でお願い!!後生だから頼む!!!