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「君が人生の時」 腸が煮えくり返るような憎悪を感じた

坂本昌行主演、「君が人生の時」を観劇しました。

エンターテイメント性が強い舞台ではないし、かといってメッセージ性が前面に押し出された舞台ではなく、変わった舞台だってことは、なんとなく感じました。

 

※以下ネタバレ

 

 

 

一言あらすじ

第二次世界大戦が開戦したくらいの、アメリカ西海岸のサンフランシスコにある、酒屋のとある日常のお話。

 

 

ざっくりとした感想

酒場に訪れる人々を見てる舞台でした。自分が酒場にいて、人間観察してる気分。

人が入ったり出たりしつつ、ほんの数分しか出てこない人がいたり、贅沢な役者の使い方でした。

 

伏線がある脚本ではないから、オチがある「物語」として見ると、「結局なんだったんだろう?」という感想になってしまう気がする。

 

酒場に訪れる人の本当か嘘か分からない会話を、3時間聞いて見てるだけ(極論)ですが、会話の裏にはその人の人生や、哲学がなんとなく見えるのが、おもしろかったです。あと人間観察が趣味の人は、絶対たのしい舞台だと思う。

 

 

初見の感情

色々考えながら観てたのですが、見終わった感情は「腸が煮えくり返る」でした。

物語の終盤、弱者をいたぶる権力者・ブリック(下総源太朗)が、キティ(野々すみ花)に侮蔑的な言葉を浴びせ嘲笑した時、すごく苦しかった。最後の最後、ブリックは「地獄に落ちた」のですが、それでももやもやは収まらなかったです。

 

30分くらい、腸が煮えくり返るくらいの憎悪、胸糞の悪さ、俯瞰で舞台を見ていたはずが、完全に飲み込まれてしまってつらかった。

 

ちなみに、一緒に観た友人は、ブリックを一喝し、キティに助け船を出したおじさん・キット(木場勝己)に対し、「かっこいい!!!好き!!!!」とモエてたそうで、胸糞悪さが少し解消しました。同じシーンを見て、この感じ方の違いよ…。持つべきものは、いろんな視点。

 

憎悪にのまれるくらい、ブッリク役の役者さんの演技がすごかったよね。ということを、観劇後に言われて「そうだ、あれは舞台の架空の役なんだ」ということに気づきました。私がいかに感情に支配されて、正常な判断がついてなかったかお分かり頂けたでしょうか。

舞台を俯瞰で見てたはずなのに、あの時感じた憎悪は、確かに本物だった。

 

最後に憎悪と言う感情に支配されてしまったために、その後のストーリーをフラットな状態で取り込めなかったのが、ちょっともったいなかったです。もう一枚チケットを取っててよかった。

 

 

 

ジョーの話

主役・ジョー(坂本昌行)の話。

放浪者と聞いてたから、ラフな感じかと思いきや、ダブルのスーツを着て、髪をキッチリまとめた不思議な男性でした。

 

世界を俯瞰で見て達観してるようで、感情のままに吐き出していたり、すべてを抱擁する老紳士のようでもあり、興味のあるものに目を輝かせる少年のようでもあったり。酒屋にすごく馴染んでるのに、異世界から来たような空気もあり、嘘を言っているかもしれないのに、それを発する心は真であるような印象でした。

 

どういう人なのかが分からない、というより、感じた性格すべてがジョーであるとしか言いようがない、そう思える人だった。どれかをなくしたら、それはもうジョーではないんです。

正直「よく分からない人だった」と言いたくもあるけど、そうじゃなくて、つかみどころがないと表すのが近いんだけど、適切ではない。

 

こういう言い方が正しいのか分からないけど、黒か白かじゃなくてグレーゾーン。

「ジョーはこういう性格だった」と言い切りたいし、どうにか言葉に表したくなるけど、確かに真逆の性質を感じたし、グレーゾーンだし、曖昧だし、矛盾してるし、でもそれがジョーなのは間違いありません。

 

 

謎の男

佇まいが素敵とか、美しいとか、かっこいい、とかそんなんじゃなくて、でもなんだかとても魅力的に映ってて、惹かれる存在。

ほんと「謎の男」という言葉がピッタリなんです。

 

すごかった坂本さん。一瞬たりとも、私が見たことある「坂本くん」はいなかった。

ジョーは坂本昌行さんに似た顔だったけど、あれは確かに別人。

かっこいい~可愛い~素敵~!という感情が全然沸き上がってこないのに、とても魅力的でした。

 

 

もう少しジョーの哲学に踏み込みたいので、今度はメモを取りつつ、細かいところも見ていきたいです。

「君が人生の時」というタイトルに込められた意味についても、答えを出したい。