<V6の始まり>から永遠へ アンコール曲『95 groove』の考察
V6の解散ライブについて永遠書きましたが、ツアータイトルにもなってる「V6 groove」と元になってる曲『95 groove』について、長くなったので別記事にあげます。
「LIVE TOUR V6 groove」の感想はこちら。
- ツアータイトル「LIVE TOUR V6 groove」
- grooveとは
- そもそもV6とは?
- V6が無くなったわけではない
- 楽曲『95 groove』
- 今回のV6ライブ
- SINCE 1995~FOREVER
ツアータイトル「LIVE TOUR V6 groove」
ここ10周年以降の多くはは「V6 LIVE TOUR 2020 ○○」というように、「V6のライブツアー 何年 ツアータイトル」という構成でした。*1
どちらもV6の名が入っていません。
今回は「LIVE TOUR V6 groove」であるので、「V6 groove」がツアータイトルになります。
そしてこれはシングル「僕らは まだ/MAGIC CARPET RIDE」のカップリング曲『95 groove』からきています。
grooveとは
groove
【名】
1.溝、レコードの溝
8.〈俗〉楽しく愉快なこと、楽しいもの
9.〈俗〉《音楽》〔ジャズの〕ビートに乗った[最高潮の]演奏
【他動】
2.〈俗〉〔~を〕大いに楽しませる
【自動】
大いに楽しむ。愉快にやる、うまが合う、最高潮である、ジャズの名演奏を楽しむ
いろんな意味がありましたが、今回のケースに合いそうなところをピックアップしました。
また、音楽用語としての意味もあります。
音楽を聴いて身体を動かしたくなる感覚という定義が多くみられます
(略)
グルーヴの特徴の一つに、身体を動かしたくなる感覚と同時に“楽しさ”を呼びおこす点があります。先ほどのSuperstitionなどの曲を使った研究では、グルーヴがあると評価された曲ほど楽しさの評価も高かったのです
つまりV6 grooveとは、V6は/が大いに楽しむという意味でしょうか。
grooveの後に人名がくると仮定すると、V6が楽しませるに変わります。
細かいことはさておき、音楽を聴いて身体を動かしたくなる・楽しむというニュアンス。
ちなみに同シングルのもう一つのカップリング曲は『Herart Beat Groovin'』です。
こちらはより音楽用語の意味が強調された曲となってます。
踊ろう!楽しもう!最高潮!って感じ。
そもそもV6とは?
坂本昌行、長野博、井ノ原快彦、森田剛、三宅健、岡田准一の6人で構成されたグループ。
そうでしょうか?
もう少し踏み込んで考えます。
例えば、V6はV6だよ。と言っても、
I am V6.(俺はV6だ)
なのか
I belong V6.(V6に所属している)
だと意味が違うことがお判りでしょうか?
一概にV6といっても、メンバー自身はV6だし、メンバーはV6というグループに所属してるともとれます。
ワイドショーなどで「元V6」と言われるのは、おそらく後者の意味です。
○○くんは「元」なんかじゃありません(怒)と反発するのは、前者の意味を求めてる人です。
どっちかだけが正しいのではなく、どちらも正しい。
また、V6内に20th Century・Comming Centuryという2つのグループがあり、それぞれCDを発売しライブをしていました。
トニセンはディナーショーや舞台も行っています。
V6はトニセン・カミセンで構成されたグループともいえます。
さらに「V6とはどういう存在か?」と質問されたとき、過去メンバーはこう答えています。
坂本「空気ですかね。でも、空気のような存在とは違います。(略)V6は空気そのもの。人は空気がないと生きていけないじゃないですか。(略)一人でも欠けたらもう違うものになってしまう。」
森田「6人で作った曲『~此処から~』の歌詞『他人 友達 家族 どこにも当てはまらない』ほかに似たような形がないもの。言っちゃえば、V6はV6でしかない(笑)」
三宅「自分を映し出す鏡、かな。自分一人では見えないことがわかったり、V6という存在自体が自分を磨くヤスリにもなると思う。」
(引用:6人のキズナ 今までもこれからも。 20th ANNIVERSARY SPECIAL BOOK)
他には、帰る場所・実家のようなもの・空気などと言ったこともあります。
つまりV6とはメンバー自身を指していたり、所属を示していたり、メンバーにとってまた別の意味を持っていたりするといえます。
あくまで私が思うV6であり、他の人はまた違う見解かもしれません。
メンバーは固定と思いきや、卒業制度のある女性グループではそうとも言えず、また時期によっても定義が変わることでしょう。
V6が無くなったわけではない
2021年11月1日にV6は解散した。
しかしV6自体が無くなったわけではない。
当然ながらV6は<在る>。
解散するとは、グループ全体の音楽活動やバラエティーを新規で見ることができないということ。
解散は完結。もう新しく活動がないことから、完成ともいえる。
これらを踏まえて、「LIVE TOUR V6 groove」唯一のアンコール曲『95 groove』について考察する。
楽曲『95 groove』
思わず身体が揺れちゃうような楽しい音楽。
爽やかで清々しくて、でもなんだか切ない。
歌詞は正直難解です。
明るい曲だけど、ため息という一文で終わってて一気に悲しく感じたり。
V6自身を歌ってると思いきや、ファンのことかな?と思う歌詞もあり。
歌詞はすべてこちらからの引用になります。
雑多な夜を追い越して
サンライズ浴びるカーテン
僕に似合わないランウェイ
ただ小さな事につまづいて
あいつはもう手を取って
息合わせて踏んだステップ
ないものをねだったって
尽きぬため息と過ぎる冷気
上記がAメロにあたります。
下記がBメロ。
hello baby あぁ今日はblue
想像に足を掬われる
行動に移した試しはないけど
嫌な予感は目に見える
i know you know あぁ日は沈む
時計は今日嘘をつく
取り返せぬ色味とともに
1番のAメロBメロは、雑多な夜を追い越し~あぁ日は沈むから、朝からまた夜になる1日を描いてます。
時計は今日嘘をつく
取り返せぬ色味とともに
時計を時間の経過です。
「嘘をつく」のは能動的なので、時計は嘘をつく=時計の機能を停止させるということ。
取り返せぬ色味とは、今までのV6は色褪せることはないということでしょうか。
今日、V6の時間を停止させる。
つまりこの歌詞は、今日(11/1解散日)時間を止め、V6は永遠になる。そういう解釈になります。
世界がどう変わっても
君が孤独感じても
帰る場所があれば
少し強くなれると思う
世界とはV6の解散についてでしょう。
解散しても、帰る場所=今日までのV6(今までの音楽や番組なども含む)があれば、少し強くなれると思う。
太陽に隠れて
流れる風は君の頬を掠めて
何十何度目になれど記憶に決別はつかぬままで
言葉述べるいつかの僕は今もここにあって
95 groove これは95 groove
サビ。1番2番大サビすべてが同じ歌詞です。
風はwindowではなくV6と考えます。
風(V6)は頬を掠めたと感じることはできますが、目には見えません。
太陽は何かの比喩ではなく燦燦と輝くsunとすると、「太陽に隠れて」はそのまま読み、解散したらV6が見え辛くなることを指しています。
何十何度目~からは、これはV6の心情ではなく、聴いてる私たちの心情だと思います。
解散した後見え辛くなる。
未だにショックで解散を受け入れられなくとも、君が風(V6)を感じた今この瞬間、確かにここに存在している。
つまりこのサビは、V6とファンの心の繋がりを表現しているといえます。
そして最後の『95 groove』なんですが…。
95とは一体何を指すのか?
この95がV6のデビュー年1995年からきてることは容易に想像できますが、1995年から現在までのV6を端的に言い換えられる言葉はないかな?と探しました。
ありました。
95とは、<SINCE 1995~FOREVER>を指しているのではないか?
しっくりきたというより、これしか考えられない。
<SINCE 1995~FOREVER>とは、
V6の1stアルバムのタイトルであり、
10周年イヤーに発売されたシングル『UTAO-UTAO』のMVにて、少年達が埋めたタイムカプセルを成長した大人(V6)が掘り起こした時に書いてあった文であり、
20周年ライブのツアータイトルでもあります。
95 grooveは、SINCE 1995~FOREVER grooveです。
太陽に隠れて
流れる風は君の頬を掠めて
何十何度目になれど記憶に決別はつかぬままで
言葉述べるいつかの僕は今もここにあって
95 groove これは95 groove
解散すれば、V6は見え辛くなる。
君はまだ解散を受け入れられないかもしれない。
しかし君が風(V6)を感じた今この瞬間、目には見えなくてもV6はここにいる。
SINCE 1995~FOREVER groove. これは95 groove
26年間のV6を大いに楽しめる。今までだってこれからも永遠に!
<SINCE 1995~FOREVER groove>と仮定することで、26年間のV6を全て内包し、さらに完結することでV6は永遠となる。
これが私が思う『95 groove』です。
どこの君もずっと
幸せでありますように
今目の前ににいなくも、リアルタイムでいなくても、過去のものを楽しんでる君も、かつてファンだった人とも捉えられます。
V6に関わったすべての人の幸せを願ってます。
この日のために忘れた記憶で
幸せならばいいと思う
旅する乙女影も遠のくが
嘘に縛り付けられぬように
本日は最後の日で
君の隣踏んだステップ
愛しているなんてのは
嘘にしておくから
ライブの感想で1曲目『雨』は、「せめてライブ中は幸せであってほしいというV6の祈りの曲」と考えました。
これと同じことを言ってるのが上二行の歌詞です。
旅する乙女=ファンですね。
遠のくのは、ただただ解散(本日は最後の日)が近付いて、V6としてファンの目の前に立つのは最後だから、そのリミットを表してると考えます。
そしてなにが嘘なのか。
「愛してる」が嘘ではないと思うのです。
「愛してる。…なんてね、嘘だよ」が嘘。つまり愛してるってこと。
ファンが縛られないようにするために、最後の日についたやさしくもずるい嘘。
そしてもう一回サビがあって、Aメロで終わります。
雑多な夜を追い越して
サンライズ浴びるカーテン
僕に似合わないランウェイ
ただ小さな事につまづいてあいつはもう手を取って
息合わせて踏んだステップ
ないものをねだったって
尽きぬため息と過ぎる冷気
このAメロ、歌詞は同じでも最初と最後では意味が違う説を推します。
時間経過があって、最初は11/1以前で最後は解散した後と考えます。
時計は今日嘘をつく(=V6を今日停止させる)けど、誰もが知ってる通り、
夜が明け1日が始まり、また時間は流れる。
V6は自らの手で完結した。
それでもやはりすぐに割り切れず、ため息は尽きないし冷気を感じる。
「今までもこれからも楽しもう!」というサビとは一転、ひとりの人間になった時の心に触れてるようでちょっぴり寂しさを感じます。
SMAPの中居くんが昔「東京ドームで5万人の前で歌って踊った帰り、スーパーで割引された刺身を一人で食べてる時我に返る」みたいなことを言ってました。
健くんも言ってます。
ライブ後、サービスエリアでフライドポテトが焼きあがるのを待ってる、上下スウェットの坂本くんの後ろ姿を見て、「さっきまであんなにキャーキャー言われてたのに、同一人物とは思えない程寂しい後ろ姿だった(要約)」と。
華やかな姿とは一変、アイドルもただ一人の人間であるのを考えさせらるエピソードですが、『95 groove』の最後はこれと同じニュアンスを感じます。
だからより一層寂しさと切なさが積もる。
最後に笑顔で光の中へ消えていくV6が、まさに太陽に隠されるようでした。
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今回のV6ライブ
今回のライブはツアーで、曲順が変更になったり追加された曲があれど、始まりと終わりは同じです。
私は配信日(11/1)とAmazonのPrime Videoで見た公演しかわかりませんが、1曲目『雨』の前のOVER TURNも変更無しですよね?
最終日ですらアンコール1回限りなのは、平等に同じライブを見せてくれるという配慮であったことは間違いありません。
剛くんの「僕らは まだ」というセリフからライブが始まり、『雨』でライブ中は幸せであってほしいと願い、アンコール『95 groove』で永遠となりV6が光に飲み込まれる。
そしてまた「僕らは まだ」でスタートし、光の中に消える…。
それがツアー最終日11/1まで繰り返されていく。
まるでV6がループしているよう。
『雨』は閉じられた世界で永遠に雨が降っているが、『95 groove』は解散後の世界が垣間見えるので、V6がタイムリープしているという一説を置いておきます。
SINCE 1995~FOREVER
V6は坂本くん、長野くん、イノッチ、剛くん、健くん、岡田くんであり、彼ら自身であり彼らのグループである。
そんな彼らが中心となり、彼らが創る物語でもある。
しかしそれだけではなく、<V6そのものの物語>というものがあると確信しています。
『95 groove』やSINCE 1995は、V6の始まりを表しています。
そのV6の始まりも、一つだけではありません。
1995年11月1日のデビュー日。
1995年9月4日の結成日。
ジャニーさんが健くんに「V6やらない?」と直接声をかけた日。
ジャニーさんが健くんに聞いた年はいつなのか定かではありませんが、デビュー日が11月なので1995年である可能性はあると思います。
『95 groove』で「本日は最後の日で君の隣踏んだステップ」と歌うのが、V6に誘われ「剛はいないの?剛がいなきゃやらない」と答えた健くんが、剛くんの隣で歌いステップを踏む姿を見て、一気に感傷的になってしまいました。
V6の始まり、長野くんだったらジャニーさんに「V6ってグループができるんだよね。自分も入りたいな」と言いに行った日かもしれない。
V6の物語は大筋はあれど、様々な視点があります。
SINCE 1995~FOREVER、<V6の始まり>から永遠へ。
11/1を過ぎ、『95 groove』を通して伝えてくれたこと。
新規のものが見られないのは寂しいけど、今までのすべてのV6が無くなったわけではない。
V6は<存る>し、音楽を聴うても円盤を観ても雑誌を読んでもV6は存在している。
メンバーだって変わらず活発に個人活動をしているし、トニセンはまだ物語を創り続けてる。
幸せであってほしいと願ってくれたように、V6も幸せであってほしい。
そしてタイトル「V6」の物語は大団円で完結した。
V6自らの手で終わりを迎え、永遠となった。
しかし、また6人の男たちが紡ぐ物語の続きが、いつかまた見られることを願って。
*1:「LIVE TOUR 2017 The ONES」「For the 25th anniversary」は除く。